大阪夷左翁寿司(大阪府大阪市:曽根崎お初天神近く)
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その4 一期一会 一覧に戻る
O: 梅雨の季節になりました、大将の嫌いな季節がやってきたね。
T: 別に嫌いじゃないけど、雨男のわしにとって、本領発揮の季節や。
O: そういえば、藤原紀香さんも雨女のようで、結婚式のとき、「雨女の本領発揮です。」とか、言ってはったわ。
T: なんたって、わしが、毎日、仕入れに行こうと、外に出たとたん『ザァー』やからな。空から雷さんが、見てるんとちゃうかと思うぐらいや。
O: きっと、見られてるんやわ。日ごろの行い悪いから・・・
T: そんな、こんな品行方正なわしをつかまえて・・・
O: はいはい・・・
それはそうと、先日、とても嬉しいことがありました。
T: そうそう、この梅雨の鬱陶しさも、吹っ飛ぶぐらい、嬉しかったなー。
O: 当店に、初めて来られた方の話なのですが、その方とは、なんと、すごいご縁があったのです。
T: わしも、びっくりした。
O: 10年程前の話になるのですが、私達がまだ、狭い路地に入ったところで、『功壽司』(いさおずし)という店を営んでいたときの話なのですが。
T: あの頃、あの路地は、ほんまに昔ながらの長屋みたいな風情があって、隣近所、みんな仲がよかったなー
O: ほんまに、懐かしいねー
その日も、ちょうど梅雨の時期で、うちの店の玄関に、ちょっと変わった紫陽花(あじさい)の鉢を置いていたら、店の前の割烹料理屋さんの女将さんが、「うちのお客さんが、この紫陽花(あじさい)をすごい気に入りはって、挿し木にしたい言うてはるから、一輪わけてもらわれへんやろか。」とおっしゃったので、「いいですよ」といって、わけてあげたのです。
T: あの、紫陽花は、ほんまに花びらが、すごく小さくて、道を通る人、通る人みんな、足を止めて、「変わった紫陽花ですねー」と言いはるな。
O: うちの父が、手塩にかけて育てている紫陽花やからねー 
それで、父に「うちの前の店のお客様が、紫陽花を挿し木にしたいそうなので、一輪あげたよ。」というと、「挿し木にするのは、難しいぞー」と、言っていた。ちゃんと根がついて、咲いたらいいのになーと思っていたのを、覚えているわ。
T: その紫陽花が、今年も当店の店の前でかわいく咲いている。
O: そう、そして、その紫陽花を見て、あるお客様が、当店に入ってこられて、
 食事をされた後、「あのー、夷左翁(いさお)さんって、昔、あの路地でお店されてませんでしたか?」と、聞かれるので、「してましたよ」「もしかして、前の店に来られたことあるのですか?」と聞くと、

「いいえ、行ったことはないのですが、昔、紫陽花の花を一輪挿し木にするのに分けてもらって、その紫陽花が根をつけて、今年もいっぱい花が咲いてなるんですけど、夷左翁さんのとこの紫陽花を見て、うちと同じ紫陽花やわ。と思って、もしかしたら、頂いた紫陽花かな?と思って。」とおっしゃるではありませんか。
T: ほんまに、びっくりした。でも、感動した。ちゃんと根がついて、ちゃんと育てて下さっているんだー。
O: 本当に嬉しかったねー。こんなことって、あるんだなーと、つくづく思いました。そのお客様は、「この紫陽花だけは、ぜったい枯れさせたらあかん」と、大切に育てて下さっているようで、思わず、「ありがとうございました。」と、お礼を言ったら、「こちらこそ、毎年の楽しみを頂いてありがとう。」とおっしゃってくださいました。
T: 本当に、人の縁というのは、不思議なもんやなー
O: うちの父にこの話をすると、「その方は、花を心から愛してはるから、花もその方のことを愛してくれてるんやわ。人も花も、いつくしんで育てたら、期待にこたえてくれるんやで。」「一輪の花がもたらした縁。『一期一会』を大切にしいや。」とのこと。
T: ほんま、『一期一会』というのは、すべてのことに通じるんやなーと、つくづく思いました。
O: 『一期一会』の精神を、忘れたらあかんね。では今回は、この辺で。
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